MIAの基本発想
MIAはムーチョ・小野正孝氏が発想したものであり、SMIプログラムと矛盾する考え方はないが、基本発想は全てオリジナルのものです。
小野さんは、著作権については神経を使っていて、特に、SMIプログラムで使っている言葉は著作権を侵害しないようにきちんとチェックをしていた。このオリジナルであるということが私達の最も誇りとするところなのです。
私が小野さんからSMIプログラムを購入したということは前に話しました。
大型のアタッシュケースに入った、分厚いバインダーの本・2冊と12本のカセットにテープレコーダーがセットされた「SMI」は、かなりな重量です。それを、わざわざ富岡まで、電車に乗って抱えてきてくれました。しかも、捻挫したといって足を引きずりながら・・・。私にとっては、嬉しさや感激を通り越して、恐縮の限りでした。
小野さんが富岡に再度来てくれたのは、それから3ヶ月目、タルヤ建設と横山昇一さんが経営していた上毛石油の合同の社員研修会の講師としてでした。これは、すでに、第1回のMIA研究会が開催された後のことです。
その帰り、私は高崎駅まで小野さんを車で送って行きました。その車中、小野さんは、次のようにMIAの基本を話してくれました。「プログラムの基本を、チェック・プラ ン・ドゥの3つにしよう。この3つをさらに、自分自身と自分の企業、の2つの側面からとらえれば、合計6つのパートに分かれる。この6つのパートを、一つずつ段階を追って学んでいけば、より高きマネージャー像、に近づけるというわけだ。プログラムとして、6つなんていうのはいい数字だね・・・」
これでMIAプログラムの骨子が決まりました。
「経営者は、毎日毎日数多くの決断をしている。その決断の量と質が企業の命だ。経営者としての存在価値もここにあるといってよいだろう。それにはまず、目標や課題に対して今どのような状況にあるかのチェックが必要になる。現在の位置が把握できれば、目標を達成するのにどんなことをしていったらよいか、あらゆる可能性がプランとして出てくるはずだ。そのプランを自分の価値判断で優先順位をつけて、出来るものから実行していく。行動に自らを駆り立てるモチ ベーションをどのようにつくり出していくかも、大いに学ぶべきだね・・・・・」
「毎日する仕事なんだから、出来るだけプロセスは少ないほうがいい。KJ法で著名な川喜田二郎先生は、仕事のプロセスを12段階にしているよね。これでは あまりにも複雑で経営者向きではない。また、JCの社会開発で使っている、CD5サイクル(調査・分析・企画・実施・評価)だって長すぎる。それをこれ以上省略することが出来ないぎりぎりのプロセス、それがチェック・プラン・ドゥの3つだと、考えればよいだろう」
「アメリカの行動科学者のテーラーは、プラン・ドゥ・シーといって、プランを先にしているよね。まぁ、実践ではこれでもいいんだろうけど、本当はこれではだめだ。例えば、飛行機を操縦していて、フライトの目的地が東京だとしよう。飛行地図やコンパスがあっても、現在の位置が正確にわからなければ、どの方向にどのくらいの距離を飛べばよいかはわからないはずだ。大事なのは、いまどこにいるのか、どこへ行こうとしているのか? ということだね」
高崎までの距離がこんなに短く感じられたことはありませんでした。
こんなことがあって、次の第2回MIA研究会が長野甲州屋に招集されたのです。そこで、さらにMIAのプログラム構成や盛り込む内容が煮つめられていきました。
「チェック・プラン・ドゥの3つのサイクルは、時計のように確実に回っていかなければならない。逆周りも飛び越しも出来ない。MIAクロックというのをつくったらどうかね。実際に時計を作っていつも腕にはめている。今チェックがここまで進んでいる、次はプランだ、と進行状況を視覚化できれば役に立つ。うん、いいねぇ、MIAクロック、つくろうじゃないか」と小野さんは言ったが、実際のMIAクロックは実現していない。小野さんが生きていたら、つくったんだろうな、と今でも残念に思っています。
しかし、プログラムの中では、MIAクロックの発想は生かされました。プログラムの中で、それぞれのステップごとにデザイン化したMIAクロックが表示されたのです。
私達がMIAに取り組んだ年、オリンピックがカナダのモントリオールで開催されていました。これにヒントを得たのか、小野さんから新しい提案がありました。
「英語を習うとき、まず、AからZまでの文字があることを知らなければならない。AからZまでの組み合わせで単語が作られていき、文章が構成されていくんだ。MIAも、このプログラムを学んだら、どうなっていくのかが分かって取り組んだほうがはるかに効果的だと思う。チェック・プラン・ドゥの3つのサイクルも、目標が明確化されなければうまく効果があがらないように、プログラムも最初にゴールまでの道筋をしっかりイメージしてから取り組んだほうが良いと思う。プログラムの冒頭に〈オン・ユア・マーク〉の項をつくろうじぁないか」
オリンピック中継では、毎日「位置について・・」という言葉を英語で、「On your mark」と、スターターが言っていました。
目標、英語で言えば「ゴール」。100メートル競争であれば、100メートル先に、マラソンなら42.195キロ先に確実にゴールがある。そのゴールに向けて、選手はスタートラインにつく。選手は、みなぎる気迫と緊張感でゴールに向けて全神経を集中するのです。 さあ、あなたも、「より高きマネージャー像」の具体的な目標を決めて、スタートラインにつこう。期待を胸に、気迫と緊張感を持って、全神経を集中させる。ピストルの引き金は、もちろんあなた自身が引くのです。
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MIA独特のイメージチェック
小野正孝先輩は、当時前例のなかった〈選挙〉で日本青年会議所の会頭に選ばれました。長野というローカルで、しかも企業は中小企業、選挙キャンペーンは熾烈を極めたといいます。
全国にキャンペーン隊が派遣されました。長野青年会議所は燃え上がったのです。そして、立会演説会では、ムーチョの登場に合わせて、「オーノー、オーノー、オーイエス!!」という応援コールが鳴り響いたという。演出も実にすばらしかったのです。
これは私の勝手な想像だが、小野さんが亡くなって20年後、長野は冬季オリンピックの開催権を勝ち取ったが、招致キャンペーンの成功はムーチョの会頭選挙のノウハウとエネルギーが長野に残っていたから、かもしれない。まあ、それはともかく、小野さんは1972年度の会頭に当選しました。
その選挙戦に当たって、小野さんは長野青年会議所の若手メンバーを20人ほど料亭に集めて、一席を設けたといいます。いよいよ雰囲気が盛り上がってきた頃、別室に移動して、小野正孝の良いところ、悪いところを徹底的にあげてくれ、と頼みました。自分を客観的に眺めて、会頭にふさわしい人物に変身したいと思ったからだと言っていました。日本青年会議所の会頭という、メンバーにとっては雲の上の人であり、理想の人でもある人物像に小野さんのイメージをダブらせて描いた小野正孝の人物評価は、歯に衣を着せない強烈なものでした。
小野さんは、「若者は遠慮がない」、と苦笑していたが、もちろんそれは照れ隠しだした。その中には、ズクがある、ダイナミック、不死鳥、インターナショナル、 オープン、ヒューマン、団らん、などの言葉に混じって、型やぶり、大食漢、クレージー、すぐ裸になる、などの言葉が綴られていたといいます。
今上げた言葉は、小野さんが自分のPR用に後で作ったイメージチャートの中にあるものの一部ですが、これはもちろん表向き。レポート用紙にぎっしり詰まった小野評は、人には言えないものもあったと小野さんはうち明けました。
人文科学には強いが理数に弱い、いつも同じ背広、歩く姿がかっこ悪い、などという言葉も書かれていたといいます。
この位の事しか私たちには話してくれませんでしたが、「実はもっとひどいことも書かれていたんだ。参ったね・・・」、と述懐していました。
その後、後輩達が作った3枚のレポート用紙を毎日のように見て、小野さんは自らの人間性を磨き、日々変身していったのです。
レポート用紙は、亡くなるまで、「これがオレの一番の宝だ」、と大切にしていました。MIAの中では、ムーチョの編み出したこの方法論を「イメージチェック」としてプログラム化したのです。
人間は実在するものに対して、どんなに少ない情報量であっても、そのものの実体をイメージでとらえる能力があります。これを「認識」ともいうことができるが、他の動物では不可能なことで、いずれコンピュータの進化によって人と同じことが可能になるかもしれないが、現在のレベルでは人間だけの持つ優れた能力といって良いでしょう。そして、描いたイメージによって、人はアクションを起こします。この場合、描いたイメージが正しいかどうかは関係なく、とにかくイメージに頼って行動を起こすのです。
MIAの目標は、〈より高きマネージャー像を求めて〉、自己を変革していくことにあります。その目標を達成するためには、まず自分自身を良く知らなければなりません。自分のことは自分が一番良く知っている、と誰でもが思いがちですが、意外とそうではありません。
自分が長年抱いてきた自分自身のイメージも、見方を変えればすっかり変わってしまうほど、極めてあいまいなものなのです。
そこで、一度しっかりと紙に書き出しチェックをしてみる必要があるのです。
イメージには、自分が他人から思われているイメージと、自分が自分自身に描いているイメージの二つがあります。その両面をチェックするのです。
自分が他の人から思われているイメージは重要です。
あいつは楽しい奴だと思われていればすぐに友達づきあいをしてくれるし、勉強家だという評価なら勉強会に誘われます。酒好きだと思われていれば飲み会に誘われ、仕事に熱心だというイメージなら仕事も頼まれます。人の面倒見が良いという評価ならリーダーに選ばれる、もちろん逆もあります。
自分がもたれているイメージが重要だという意味は、相手が自分に仕掛けてくる行動を全て決めているからなのです。
その場合、正しく相手が自分の評価をしているかどうかの詮索は意味を持ちません。 たとえ間違ったイメージを持たれている場合でも、相手はそのイメージによってあなたの評価を決めているのです。
MIAでは、同じ勉強会に参加している仲間から自分のイメージを書き出してもらいます。
自分が自分自身に抱いているイメージはもっと重要です。
なぜなら、そのイメージによって自分自身の行動が全て決まってしまうからです。自分を消極的な人間だと思えば、行動は消極的に、明るくはつらつとしている、と思えば言動は陽気になります。自分は音楽が趣味だ、専門は経営学だ、営業なら任せておけ、などという思いがあれば、その分野には積極的な行動を起こします。自分は駄目だ、今の仕事は自分にあっていない、誰からも信用されていない、などと思っていれば、つい身がすくんでしまいます。そんな経験もお有りだと思います。
しかし、これらのイメージもまた、自分自身で勝手に作り上げたイメージで、本当にそうかといえば怪しくなってきます。イメージのほとんどは、相対的なものであり、絶対的なものではないからなのです。
つまり、考え方を変えればほとんどのイメージは変えていけるのです。
MIAでは、チャートの真中に自分の顔写真を貼り、その周辺に自分のイメージを書き出していきます。
さて、2枚の自分に対してのイメージチェックが出来上がりました。これをどう使っていくのか?
仲間からは自分が思ってもいなかった厳しい見方もあるでしょう。自分のことを誤解しているものもあるし、中には買いかぶりと思われるものもあります。自分自身のイメージと比べると、同じ評価もあるし、まったく違った評価もあるでしょう。そこで、MIAの目標である、〈より高きマネージャー像〉を実現するために変えていかねばならないイメージを取り出し、変えるための努力をしていくのです。
MIA テキスト
MIAテキストはページ数が多いので、使い方マニュアルと、6つのステップに分割してあります。
Chart Sheet
MIA専用チャート(PDFファイル)をご用意いたしました。 対応するステップに関しては、MIAスタートのページをご参照ください。
MIA事務局
MIAのお問い合わせはMIA事務局までお願いします。
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